18世紀のヨーロッパにとって、北アメリカ大陸というのはものすごく遠かった。ただ、確実に存在はしていて一応交渉の際の取引の材料にはなる。ただその取引の仕方が非常に大雑把だった。 1750年代は大西洋岸にそってイギリス系住民の植民地が独自の発展を遂げる一方で、その奥地にある今のテネシー州やケンタッキー州からコロラド州くらいまでの一帯はフランス領で、今のテキサス州南部からカリフォルニア州南部までの一帯およびフロリダはスペイン領だった。これが1760年代になると、このフランス領の半分がスペイン領になり、もう半分がイギリス領になるが、1780年代になるとスペイン領の半分が今度はフランス領になる。1783年にアメリカが独立を達成したあとも、ルイジアナから西側の広大な地域の領有権は毎年変化し続けた。このころには、今のオレゴン州あたりに大陸の反対側から姿を現したロシアが領有権を主張し始める。 スペイン人は