金融緩和によるデフレ脱却や景気回復実現へ前進しているが、一方で所得再分配政策はどうなっているのかという疑問を持つ人もいる。 金融政策は、マクロの経済変数を動かすので、個々の経済主体にとっては効果が比較的まんべんなく行き渡る。この意味で、金融政策はエコひいきのない政策である。 ただし、効果の波及経路が資産市場を経由する場合には、当面、資産を持っているかいないかで効果の差が出てくる。その結果、資産の有無によって一時的に格差が見えるようなこともある。 本来ならそうした一時的なものについてはあまり気にしないほうがいいのだが、それでもある程度時間がたっても存在する格差是正のためには、一定の所得再分配政策が金融政策とは別に必要であろう。 筆者は、もともと経済政策の目的である資源配分、所得分配、経済安定化のためには、さまざまな政策手段を使うという立場である。所得再分配政策としては、「負の所得税」