4月2日夕、首相官邸で開いた消費者行政推進会議。「消費者庁」創設論議に耳を傾けていた首相・福田康夫はふいに立ち上がり、足早に部屋の外へ出て行った。マナーモードに設定した携帯電話が掌で小刻みに振動していた。席に戻ってくるまで約1分。室内の空気が一瞬、止まったようだった。日本の宰相はいつからサラリーマンのようにケータイを駆使し始めたのか。そんな小さなことからたどっていくと、福田と「水と油」のはずの前首相・安倍晋三との「まさか」とも思える数々の符合が浮かび上がる。 秘書官も把握しきれない首相の携帯電話 混迷が続く日銀総裁人事。福田は同意が得られなかった前副総裁・武藤敏郎、国際協力銀行総裁・田波耕治らを含め、これまでに総裁・副総裁候補として5人を国会に提示した。実は一度も候補者を官邸に呼び、面会したうえでの就任要請をしていない。この中の1人は「実は首相は携帯電話で直接、何度もかけてきて、話をし