「日本人は集団主義」というのは、日本人論の「常識」である。この「常識」、文化論ではあるのだが、たんなる文化論というだけでは済まない。わたしたち日本人にとっては、気づかれざる「危険思想」なのである。 なぜ「危険思想」なのか? それは、日本を非難しようとする人たちにとって、きわめて強力な攻撃手段になるからである。 前稿『「日本人は集団主義」という幻想』では、科学的な国際比較研究が「日本人=集団主義」論を否定している、という話を紹介した。世界の「常識」にまでなっているこの「日本人=集団主義」論、正しい日本人像などではなく、じつは、19世紀に蔓延していた欧米優越思想の遺物にすぎないのである。 しかし、この「常識」、事実には反していても、「だれもが信じている」というそのことだけで、わたしたちの生活に深刻な影響をおよぼしかねない。近年では、日本経済がその衝撃に揺らいだ。 日米貿易摩擦と「日本叩き」 1