→紀伊國屋書店で購入 「人の身体と生命を介して記憶する「みえない歴史」」 ずいぶん前にキツネについて調べていたことがある。といっても生きているキツネではない。お稲荷さんのキツネである。社の前に座っているキツネの石像に惹かれて写真に撮るうちに、それにしてもどうしてキツネなのだろう、と興味をもったのだ。取材するにつれて、東京都心でもキツネに化かされたり、キツネを神聖視する話がごく最近まであったのを知り、驚いた。 というわけでタイトルにそそられてこの本を手にとったのだが、前書きを読んでキツネがテーマではないらしいとわかった。1965年を境に日本全国から人がキツネにだまされる話が一斉に聞かれなくなった。それはどうしてか、1965年に日本の社会の何が変わったのか、その謎を解いていきたいとある。 日本社会の変化を象徴するものとしてキツネが挙げられているのであり、テーマは日本人の自然観の変化なのである。