とても好きだった人がいた。 本当に穴に落ちたように好きになった。 その人に会うために意味もなく喫煙所に通ったりした。 会えた時は嬉しすぎて両手を上げて走って帰りたいくらいだった。 たまたま来ただけですを装うのに何パターンもの会話の糸口を考えたりした。 会えなかった時に吸うタバコは寂しさを増した。 その人から言われたことを、映像ごと記憶している。 仕事で腐りそうな時、時々思い出す。 また喫煙所に行ったらあの人がいて、「なんかね、」と話したら助けてくれるんじゃないかなって思ってしまう。 でも彼はもう喫煙所にはいない。 色々あって結ばれない恋だった。 喫煙所にも行かなくなった。 今でもたまに、助けて欲しいなと思いながらタバコを吸う時がある。 けど自分で何とかできるくらいには強くなった。 恋ではなく、信仰に近かったのかもしれない。 それでもその期間の事は私にとって大切な思い出であり支えにもなってい