首都を目指すような台風15号の動きに、東京都の防災担当者の間には21日早朝から緊張が走った。午前6時54分に都内で大雨洪水警報が発令されると、災害対策住宅に住む職員が呼び出され、午前7時過ぎには、31人が集まった。 台風が接近するにつれ、同日夕方には地上45階建ての都庁第1庁舎は強風を受けて、きしむような音を立て、揺れ始めた。 災害対策担当者らの頭をよぎったのは、東日本大震災で約10万人の帰宅困難者を公共施設などで収容した生々しい経験だった。 「大震災の例もある。風も強いし、帰宅困難者の対応も検討した方がいい」 都総合防災部は、会社員や学生らの帰宅時間帯に台風が直撃する可能性に備えて、警戒体制を取った。 総合防災部内の検討会では、首都直撃の台風による交通機関の麻痺を想定した対応が協議された。これまで地震以外の災害で帰宅困難者対策が議題となることはなかったといい、異例の対応だった。 ただ、同