■柄谷行人の新作『力と交換様式』について(3) 柄谷行人は、人類の社会構成体の歴史を、《 交換様式A 》《 交換様式B 》《 交換様式C 》《 交換様式D 》と言って、説明してにいる。それが 、『 世界史の構造』から『力と交換様式』にいたる最近の柄谷理論のキーワードである。したがって、まず ここから説明しよう。まず《 交換様式A 》について。これは未開社会 、あるいは原始社会の交換様式である。この社会では、具体的に言うと、《 互酬交換》が行われている。この《 互酬性 》の段階では 、交換はほぼ平等に行われ、あまり貧富の差や身分の差などは発生しない。富を独占的に所有するような権力者や支配者も、存在しない。したがって国家も国境も存在しない。さて、つぎに《 交換様式B》は、《 贈与と収奪》という交換が行われている社会の段階である。この段階で、富の独占や権力者、支配者が発生し、王様と奴隷というよう