またまた哀しいニュースが…。 音楽評論家の黒田恭一さんが亡くなってしまった。71歳。 初めて彼の評論に触れたのは、25年くらい前、雑誌「Stereo Sound」のコラムだったと思う。そのわかりやすくも等身大な筆致に惚れ、それ以来ずっと彼の評論を追ってきた。 上から目線で「教える」ことをせず、読者の身になって静かに丁寧に音楽の本質を伝えてくれた。その易しさから「初心者向き」とも言われたが、決してそうではない。単に難しい言葉を使わなかっただけ。レッテルを貼って決めつけなかっただけ。そして読者と同じスタンスに立っただけ。つまりは読む人のことを第一に考えた、超優秀な評論家かつコミュニケーターだったということ。 「オレがイイと思うんだから信じろ」的CD批評は絶対せず、ちょっと自信がないときはそれもちゃんと匂わせた。そして読者に考えさせた。良かったら体験してくれと行動を促した。教養としてでも知識とし