小さな頃大好きで、特別だったお菓子がブルボンの「ルマンド」である。 一袋全部食べきれるくらいの好物だった…のはもちろんなのだが、更に特別だったのが食べる場所。 母からパリパリサクサクのルマンドは絶対食べこぼすからお家で食べるの禁止!と言われ、休日公園の芝生の上でしか食べさせて貰えなかったと言ういわくつきのお菓子なのだ。 おかげで未だに、大きな滑り台をみるとルマンドを思い出す。 大人になった今はわざわざ公園に行かなくとも、ルマンドが好きなだけ食べられる。 勿論今でも好きな味だ。 でも、なにかが違う。 あの頃のような特別感は失われてしまった。 小さな頃、ルマンドは紫色っぽく見えるからブラックでもホワイトでもない、特別製のチョコレートが塗られているのだと信じていた。 ルマンドのためだけのチョコレート。 だからルマンドはこの世に一つの味なのだと、そう信じて大事に大事に(食べこぼしながら)食べていた