1 2021 年 12 月 20 日 円の実質実効為替レートの歴史的な低下の意味 ~購買力平価による水準評価から考える円相場の現在地~ 経済調査部 上席研究員 橋本 将司 masashi_hashimoto@iima.or.jp <要旨> ➢ 円の実質実効為替レートは、1970 年初頭から 1995 年まで日米経済摩擦等を背景に 大幅に上昇したが、1995 年以降は下落に転じ、直近は 1980 年代前半以来となる低 水準まで低下した。 OECD 公表の絶対的購買力平価でみると、 1995 年に至る円高局 面で、円は大幅な過大評価となっていた。過去約 25 年の円の実質実効為替レート の低下は、こうした円の過大評価の調整プロセスであったとみることもできる。 ➢ 大幅に上昇した円の実質実効為替レートの調整過程は、 日本経済の構造改革が進ま ずに輸出依存体質が温存される中、名目実効為替レートも高