パク・チャヌク監督作『お嬢さん』を見てきた。これ、原作はサラ・ウォーターズによるヴィクトリア朝を舞台にしたミステリ『荊の城』である。舞台をイギリスから植民地時代の朝鮮半島に移し、結末などもかなり変更している。 1939年の朝鮮半島、ヒロインのスッキ(キム・テリ)は詐欺の一味のひとりとしてメイドに変装し、日本の華族令上秀子(キム・ミニ)が朝鮮人の叔父、上月(チョ・ジヌン)に引き取られて暮らしている大きな屋敷に奉公に出る。一味の男(ハ・ジョンウ)が「藤原男爵」(便宜上この後「藤原」とする)を名乗って秀子に近づき、結婚した上で財産を奪い取るのが目的である。ところがスッキはだんだん美しい秀子に心引かれるようになっていき… とりあえず原作を大変上手に帝国主義の時代の朝鮮半島に移して翻案していると思った。ただ、人生の厳しさを容赦なく描きつつ深い余韻を狙った原作に比べるとこちらの映画はかなり明確な恨みと