◇実加、許してくれるか 2歳娘の腎提供、自問続け12年 「おはよう」と、父の指が水色のワンピースを着た女児の遺影をなでる。愛知県の会社員、河原克彦さん(49)の朝の日課だ。夜も「おやすみ」と声をかけながら、頭をなでる。女児は、97年に2歳で亡くなった次女実加ちゃん。心停止後に腎臓を提供した。提供に同意した河原さんだが、「実加の意思が確認できなかっただけに、本人が納得してくれているのかを考えると、今もつらい」と言葉を詰まらせた。 実加ちゃんは、交通事故で頭を強打し、総合病院に搬送された。危篤状態になり、心停止後の臓器提供について説明された河原さんは「子どもの肉体の一部でも灰にならず、生き続けてくれたら」と、腎臓提供に同意した。事故から3日目の早朝、実加ちゃんの心臓が止まった。数分後には別の部屋で腎臓の摘出手術が行われた。 間もなく、河原さんの心中にさまざまな疑問がわき起こった。「人助けができ