なぜきちんと手を洗っているのに、風邪をひいてしまうのか。その理由が「熱心に手を洗っていたから」とすれば、どう思われるでしょうか。75歳の医師・藤田紘一郎さんは、ほとんど石けんを使わず、水だけで手を洗います。でも手はスベスベで、風邪もめったにひきません。その理由とは――。(第1回) ※本稿は、『手を洗いすぎてはいけない』(光文社新書)の第1章「手を洗いすぎる人は、なぜ体が弱いのか?」を再編集したものです。 手洗いで風邪は予防できるか 春から夏は食中毒予防、秋から冬は風邪予防。 今や日本は、一年中感染症の予防に熱心な国になりました。そうしなければ命を落としかねないほど、私たちの国は不潔で危険な環境にあるのでしょうか。 いいえ、そうではありません。細菌やウイルス、寄生虫など目に見えないほど小さな微生物の存在におびえて、清潔に熱心になりすぎているのが、現代の日本です。 そのことは、手洗いのしかたを