国民負担率は、過去最高を大きく更新した。2月に財務省は、2020年度の「国民負担率」を公表した。国民負担率は、個人や企業の所得に占める税金や社会保険料の割合で、公的負担の重さを国際比較するための指標として利用される。毎年の公表で、昨年度までの実績、今年度の実績見込み、来年度の見通し、の3つの率が示されている。この国民負担率について、考えてみよう。 国民負担率は、国税や地方税の租税負担と、国民年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、所得で割り算して算出する。所得には、国民所得もしくは国内総生産(GDP)を用いる。メディアが主に報じるのは、国民所得を用いた数字だ。 広辞苑(第七版)(岩波書店)では、国民負担率を、「国・地方租税負担と社会保障負担(社会保険料負担)の合計額の、国民所得に対する比率」としている。他の国語辞書も同様だ。所得として国民所得を用いた数字が、国民負担率とされること