今回は名前だけは知っているが飲んだことのないブレンデッド・スコッチの代表的な一本ともいえる〈ベイリー・ニコル・ジャーヴィー〉(以下BNJ)を飲んでみた。物の本*によると、BNJはスコットランドの詩人で作家のウォルター・スコットの書いた作品に登場する架空の人物だそうである。スコッチ・ウィスキーの名前は文豪の名前や作品名にちなんだものがあり、詩人の名前そのままの〈ロバート・バーンズ〉や登場人物名の〈ロブ・ロイ〉などがよく知られていると思う。 BNJは19世紀末に発売されたがいつしか生産中止になって、長い間幻のウィスキーとして知られていた。現在入手できるのは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下のグレンモーレンジー社が出しているもの。元々のブレンドにグレンモーレンジーが使われていたのか定かではないが、グレンモーレンジーをはじめグレンマレイなど8年以上熟成されたモルトとグレーンの原酒が10種類ほどブ