たった7行の記事に、僕の心はふるえた。 2011年5月17日(火)の東京新聞の夕刊に載った哲学者、中島義道さんの「震災への『なぜ』今こそ 美談が覆う真実もある」の記事の一節にだ。 三沢典丈さんという東京新聞の記者が、中島義道さんから話を聞いてまとめた記事だ。 三沢典丈さんは、冒頭にこう記している。 「東日本大震災から2ヶ月がたった。震災を契機に戦後の日本が歩んできた道を見直そうというかけ声をよく耳にするが、その具体像は見えて来ない。 被災地の復興も遅々として進まない今、〝新しい日本〟のために何をどう考えればいいのか。『不幸論』などの著書で知られる哲学者・中島義道さんに聞いた」とある。 震災後、僕が心を痛めていたのは、何十万人という被災者の中に、何千人、何万人もの同性愛者もいるに違いないと思っていたからだ。 年配のゲイの人たちは、地方のことでもあるから、ほとんどの人は結婚しないわけにはいかな