「南大門」の厨房に立つ河内年夫さん。店内にはテーブルが一つだけ置かれている=北九州市門司区で2024年5月30日午後4時47分、反田昌平撮影 北九州市にあるレトロな市場の一角に「日本一小さい」と称される焼き肉店がある。約20平方メートルの店内にロースター付きのテーブルが1台あるだけだが、多くの常連客らでにぎわう。そんな小さな名店は、がんを患い失意に沈んでいた店主と入院先の看護師との「約束」から誕生した。 JR門司港駅から徒歩約10分の門司中央市場(同市門司区老松町)。精肉店や青果店、雑貨店などが並ぶ路地に、焼き肉店「南大門」はある。 「焼肉(やきにく)」と書かれた赤ちょうちんがつり下げられ、手書きのメニューが張られた入り口から中に入ると、客4人が入るのがやっとのスペースしかない。奥の厨房(ちゅうぼう)では、店主の河内年夫さん(81)が忙しく切り盛りする。 看板メニューは「焼肉定食」(税抜き
低額の生活保護費が振り込まれた通帳を手に、受給を巡るいきさつを振り返る女性=桐生市で2024年7月12日午後0時16分、遠山和彦撮影 群馬県桐生市の80代女性が生活保護の受給に際し、実際には受けていない親族からの資金援助が毎月あると扱われ、本来の受給額より数万円低い生活保護費しか受け取れなかったことが判明した。低額支給は2018年6月から4年以上続いた。女性は太田市のNPO法人「ほほえみの会」と金銭管理契約を結び、毎月1万円を葬儀費用名目で引かれていたため、月約3万4000円しか手元に渡らない状態が続いた。女性は「市の窓口で暴言や威圧的対応をされ、怖くて増額を言い出せなかった。無年金で、美容院にも行けず、生活のやりくりが大変だった」と話している。【遠山和彦】 女性は17年12月、市に生活保護の相談に行き、窓口で市職員からほほえみの会と契約するよう促され、身元引受人と金銭管理契約を結んだ。女
船に載せられ、紀伊水道沖に運ばれるマッコウクジラ。この後沈められた=2023年1月19日午後2時35分、本社ヘリから 大阪湾で死んだマッコウクジラの処理費を巡り、大阪市が厳しい批判にさらされている。当初の試算額の倍以上で海運業者と随意契約。住民監査請求を受けた市監査委員が、金額ありきで契約交渉が進められた疑いがあるとして、横山英幸市長に再調査を勧告する事態に発展した。毎日新聞が入手した業者との交渉記録によると、処理を担当した大阪港湾局の当時の幹部が業者の意に沿う形で金額の引き上げを促していた。 クジラは2023年1月9日に大阪湾の淀川河口付近で見つかり、13日に死んでいるのが確認された。19日には市の依頼を受けた市内の海運業者が作業船で運び、紀伊水道沖に沈めた。緊急性のある作業だとして、入札せずに随意契約を進めた。業者はその後、市に8625万円の見積書を提出。一方、港湾局は3月初めに377
木造復元に向けて入場禁止となる日を前に、大勢の「駆け込み来場者」でにぎわった名古屋城天守閣=名古屋市中区で2018年5月5日午後2時23分、兵藤公治撮影 「テーマパークにする気はない」 名古屋市の河村たかし市長が肝いりで進めている名古屋城天守閣の木造復元事業。市はバリアフリー対策として車いす使用者が乗れる小型昇降機を設置する方針を打ち出している。どの階まで昇れるかが焦点となる中、河村市長は毎日新聞の取材に「名古屋城は文化財。テーマパークにする気はない」と述べ、障害者団体が要望する最上階までの設置を明確に否定した。 名古屋城天守閣は5層の屋根を有する「5層5階地下1階」の建造物。市は「地上から天守1階まで」を最低条件として小型昇降機を設置し、市民の意見を聞きながら、さらに上層階まで昇れるかどうか検討を進めている。
岐阜県美濃加茂市議会の永田徳男(のりお)副議長(71)が4月、姉妹都市の豪州・ダボ市の市長らを招いた歓迎会の2次会で、市長の娘の下半身にカラオケマイクを近づけるセクハラ行為をしていたことが7日、市関係者への取材で判明した。永田氏は毎日新聞の取材に「一生懸命に場を盛り上げようとしていた。不快な思いをさせてしまい大変申し訳ない」と陳謝した。 複数の関係者によると、ダボ市のマシュー・ディカーソン市長は4月3日、一緒に来日した家族らとともに美濃加茂市を訪れていた。同日夜に市内の飲食店で開かれた歓迎会の2次会で、永田氏はカラオケで歌いながらディカーソン市長の娘の股間にマイクを近づけたという。
当選が確定し、支援者から花束を贈られ笑顔の小池友妃子氏=愛知県碧南市で2024年4月21日午後11時15分、真貝恒平撮影 任期満了に伴う愛知県碧南市長選は21日、投開票され、無所属新人の元市議、小池友妃子氏(54)が、いずれも無所属で5選を目指した現職の禰宜田(ねぎた)政信氏(72)と新人の元市副議長、鈴木良和氏(67)を破り、初当選した。愛知県内で女性首長が誕生するのは2人目。 過去3回無投票が続き16年ぶりとなった選挙戦は、現職と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も争点となる異例の展開となる中、市民は市政刷新を選んだ。 禰宜田氏は、旧統一教会の関連団体の役職を歴任してきたことが2年前に明らかになった。これについて本人は「個人の政治活動の一環で、公務上の関係は一切ない」と説明。教団との個人的な関係については「信教の自由」などを理由にコメントを避けてきた。こうした姿勢を小池氏ら新人
イスラエル軍のドローンによる空爆で死亡した国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)のスタッフ7人=WCK提供・AP 飢えに苦しむ人々に食料を届けたい。人道支援スタッフのそんな願いが爆撃で吹き飛ばされた。起きてはならない事態である。 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区で国際NGO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)の車両をドローンで空爆し、欧米などの7人が亡くなった。 イスラム組織ハマスの壊滅を目指すネタニヤフ首相は謝罪する一方、「戦争ではこうしたことが起こる」と述べた。だが、国際人道法は非戦闘員の保護を義務付けており、受け入れられない発言だ。 WCKは協力団体と共に、1日平均15万食を避難民などに届けていた。今回も配給の日程やルートをイスラエル側に伝え、車両には組織のマークを表示していた。 イスラエル軍は情報が兵士に連絡されていなかったことを認め、関与した軍の高官
フロントを通らず、1棟ずつ独立した客室に直接入れる構造は、コロナ対策にもなっていた=群馬県伊勢崎市のラブホテル「SERA赤堀店」で2020年8月25日午後3時53分、藤沢美由紀撮影 真面目にやっているラブホテルの経営者がほとほと困っていると聞いた。コロナ禍で客は減り、ホテルなのにGo Toキャンペーンも持続化給付金の対象でもないという。ラブホテルは性風俗業だから別枠とは、何だかややこしい。コロナ禍の性風俗産業は一体どうなっているのだろうか。取材に実名で応じてくれる経営者を訪ねた。【藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】 「差別としか言いようがない」と経営者 青空の下、道路脇には住宅のほか、夏草の生い茂る田んぼや牛舎も見かけた。最寄り駅から歩くこと30分。農耕車や大型トラックが走る県道沿いに、矢印と控えめな看板が見える。群馬県伊勢崎市の「SERA赤堀店」。「性風俗関連特殊営業」の届け出をして
2025年大阪・関西万博の開幕500日前を契機に大阪市役所正面玄関前に設置された「ミャクミャク」のモニュメント=2023年12月、藤河匠撮影 2025年大阪・関西万博に向けて、大阪府と大阪市が24年度当初予算案に計上した万博関連費用の規模は計836億円超(うち国庫補助など24億円)に上った。開幕前の最終年度となり、23年度の4倍超と過去最高。加えて、知事・市長が公約の目玉とした無償化施策にも多額の予算を投入し、府は680億円、市は225億円のいずれも収支不足となる。赤字は今後10年間続く見通しで、府は年度当たり230億~940億円、市は同25億~355億円と試算している。 府・市が15日までに発表した予算案によると、共同設置の万博推進局の事業費は計657億円。大半は最大2350億円に増額された会場建設費の負担金が占める。負担額は国、経済界、府・市の3等分で各783億円となるが、24年度には
経団連・ダイバーシティ推進委員会の魚谷雅彦委員長(資生堂会長、手前右)は、加藤鮎子女性活躍担当相(奥中央)に選択的夫婦別姓の導入を要望した=東京都千代田区で2024年1月17日午前8時10分、町野幸撮影 「ビジネスにも女性活躍にも悪影響が出ている」――。結婚後も希望すれば従来の名字(姓)を本名にできる「選択的夫婦別姓」制度の導入を目指して経済界が動き出した。結婚後は旧姓を「通称」としてしか使えない日本独特の制度は、国際化が進むにつれて限界が見え始めているためだ。 世界では異質「夫婦同姓制度」 「国際的に活躍される方のキャリア形成の阻害要因となっている。海外の訪問先でアイデンティティー(本人証明)が一致せず、締め出されることもある」 1月17日、東京・千代田区の経団連会館で開かれた経団連と加藤鮎子女性活躍担当相との会合で、経団連・ダイバーシティ推進委員会の魚谷雅彦委員長(資生堂会長)は「選択
能登半島地震の被災地には、障害者や介護が必要な高齢者ら、一般の避難所で生活するのが難しい人たちが少なくない。国は自治体に対し、そうした被災者を受け入れる「福祉避難所」を開設するよう求めている。しかし、計画通りには進んでいない現状がある。【斉藤朋恵、菅沼舞】 「もう限界です。このままでは家族が壊れてしまう」 5日、石川県輪島市の中心部にある障害者福祉施設「一互一笑(いちごいちえ)」に一人の男性(50)が訪れ、声を絞り出すようにして伝えた。 対応した職員に対して男性が語ったのは、障害のある子がいる一家が、地震発生からの5日間を必死な思いで過ごしてきた経験だった。 男性は妻(46)、重度の自閉症の小学6年の長男、小3の長女の4人家族。市中心部から約8キロ離れた集落で暮らしている。1日の激しい揺れの後、急いで外に避難しようとしたが、長男は混乱して靴を履こうとしなかった。男性が背負って車の中まで運ん
近く政府が示すとしている2025年大阪・関西万博の費用の全体像が判明し、万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円に上ることが分かった。これとは別に会場建設費など万博に「直接資する」国費負担は計1647億円となる。 直接的なインフラ整備費の内訳は、万博会場の最寄り駅となる「夢洲(ゆめしま)駅」までの大阪メトロ中央線延伸など「会場周辺の整備費」が810億円、会場となる人工島・夢洲と市街地を結ぶシャトルバスのルートとなる阪神高速「淀川左岸線」2期整備事業など「会場へのアクセス向上費用」が7580億円としている。 国費負担1647億円の内訳は、会場建設費783億円▽日本館関連360億円▽途上国支援240億円▽警備費199億円▽万博の機運醸成38億円▽誘致などの費用27億円――となる。さらに来年度以降、機運を高めるためのイベント費用なども加わる見通し。
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