『大学入試センター作問委員の理想と現実T』〜佐藤恒雄〜 ○ 入試センターの作問委具に任命される 私がセンターの作問委員に任命されたのは,2000年の4月である。ちょうど櫻が満開の季節で,センター本 部の庭の櫻は見事であった。私は定年退官を1年後に控えての任命だったので,任期は1年という約束の短期間 の委員であった。 私には,センター試験に対して特別の思い入れがあった。センター試験の前に行われた共通一次の最初の作問 委員に千葉大学から推薦されたが,その条件として,教科書執筆はダメ,参考書執筆もダメ,ラジオ講座の出講 もダメ,もちろん予備校関係もダメ,とあらゆる禁止条項が付いており,私は作問委員を断念した。私は作問に 関して,日本で五本の指の中に入ると自負していたし,大学でもその作問能力を高く評価していて,貢献を期待 していたが,共一では,むしろ,入試や高校の数学教育に疎い大学の先生方を