『カンザス・シティ』(Kansas City/1996) 映画『カンザス・シティ』(Kansas City/1996)は、同地を故郷とするロバート・アルトマンが監督し、少年時代に聴いていたジャズへの愛が溢れた作品。と言っても自伝的要素はなく、あくまでも独自のストーリーに徹底する。 1970年代の『M★A★S★H』『ロング・グッドバイ』『ボウイ&キーチ』『ナッシュビル』といったアルトマン作品にファンは多い。だが『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ』『プレタポルテ』と続く1990年代も、まぎれもなく同監督のキャリアのハイライト。本作もそんな時期に撮られた傑作だ。 物語の舞台となるのは1930年代前半のアメリカ中西部ミズーリ州、カンザスシティ。アメリカ中が大恐慌に覆われる中、この地だけは活気があった。民主党の悪徳政治のドン、トム・ペンダーガストによって街やビジネスが牛耳られる代わりに、ギャング仕
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