トミヤマユキコ/早稲田大学文化構想学部助教 2018.5.7 「大学でマンガに関する授業を持っている」と言うと「マンガの描き方を教えてるんですか?」と訊かれがちだ。でも、わたしはマンガ家ではない。むしろめちゃくちゃ絵が下手である。 「描き方を教えるわけではなくて、少女マンガや成人女性向けマンガに描かれた女性の労働について分析・考察する授業なんですよ」と説明すると、不思議そうな顔をされる。まあ、そんな表情になってしまうのも無理はない。「そんなものが大学の授業として認められるのか?」と思うのも「え、少女マンガって、基本恋愛マンガでしょ? 労働関係ある?」と思うのも、よくかわるから。ごくたまに、目を爛々と輝かせお仕事マンガへの愛を語ってくれる人もいるけれど、それはかなりの少数派。 ……というわけで、わたしは「労働系女子マンガ」という、かなりマイナーなジャンルを研究している。研究をスタートさせるき