歴史とは過去の事実を文献などを用いて収集し、編纂したものである。歴史叙述は古代から存在していたが、学問としての方法論を確立させた近代歴史学が成立したのは、17世紀から19世紀頃にかけてである。 西ヨーロッパではルネサンスの時代に史料批判の方法論が確立し、17世紀以降に古文書学として成立していたが、歴史家レオポルト・フォン・ランケは、その史料批判を歴史研究において重要視する実証主義的な歴史学(実証史学)を確立した。「ただ事実を記すのみ」としたランケの実証史学は歴史学界に大きな影響を与え、今日の歴史学の基礎となった。しかし、文献資料を偏重することには問題があり、アナール学派の登場以来、文献研究以外の方法[注 1]も模索され、人類学的な性格を持ちつつある[注 2]。 過去を教訓として受け取る態度は古くから見られるものである。例えば、ニッコロ・マキャヴェッリの『リヴィウス論』はイタリアの黄金時代で