テレビ、映画、舞台――話題作への出演が続き、さらなる飛躍の予感を感じずにはいられない俳優・綾野剛。北川悦吏子と岩井俊二が『ハルフウェイ』以来再びタッグを組む『新しい靴を買わなくちゃ』では、独特の美しさにつつまれる映像世界のなかで、画家を目指しながらパリで暮らす青年を演じる。クールな表情の内側に隠された作品に対する熱い想いと舞台裏の秘話をタップリと語ってもらった。 シーンの後半部分はほとんど即興 ――北川悦吏子監督作品には初参加の綾野さんですが、監督の演出はいかがでしたか? 綾野「この台詞は必ず言ってね」という指示はありましたが、お芝居や動きの演出などはなく、精神面での確認が多かったです。監督とのやりとりでは、「綾野くんいける?」「はい。大丈夫です」だったり、「すみません、30秒もらってもいいですか?」「うん、わかった」という風に気持ちの準備の確認が主でした。 ――撮影方法はどんな感じでした