わたしがすきになる「先生」は、たいていいつも気だるそうな人だった。 中学の理科の先生は、授業中文字通り気だるそうな様子で教えていたし、「俺ほんとうは資生堂で化粧品の研究がしたかったんだ」とぼんやりわたしに吐露してきたこともあった。大学ですきだった教授は、教授間での派閥うんぬんについて面倒くさげに愚痴ってきたものだった。 小学校6年生のときの担任も、例に漏れずそういう雰囲気を兼ね備えた人だった。彼は当時30歳くらいで、反町隆史似のかっこいい先生だった。もちろん授業や課外活動の顧問などは熱心に取り組んでくれていたが、休み時間の先生はなんとなく受け答えが淡白で、わたしはむしろそんなときの先生がすきだった。 わたしは先生の「秘書」を自称(他称?)していて、よく先生の隣にいた。放課後暇なとき、事務作業をこなす先生の横でなんとなくそれを眺めていたり、喫煙所についていったりもした。 あるとき相変わらず先