情報科学・技術と記号論を関連付けようとする試みは、いくらか存在するが、個人的には、いままで提示されているモデルで納得がいくものはあまり多くない。既存のモデルは、断片的だったり不正確だ。ここでは、より正確であるが、詳細になりすぎないモデルをメモしておく。 情報システムは、次の4つの世界観に分けて、考えることができる。低次のレイヤーから順に、 物理界=場の世界 通信界=信号の世界 計算界=表現の世界 人間界=意識の世界 と考える。 物理界は、情報システムをそのように物理的な系として解釈した世界観だ。人間や計算機は、センサーやアクチュエーターなどを介して物理的な外部環境と相互作用している。そうした過程のすべての現象は、計算過程や通信過程も含めて、実際にはすべて物理的な法則に従っている。物理界では、人間の知覚しがたい現象が作用しあい、混沌としていて、高度な数理モデルによって記述される。 通信界は、