12月10日、「令和4年度税制改正大綱」がまとまりましたが、岸田首相が総裁選で主張していた「金融所得課税の見直し」は、結局見送られました。金融所得課税の増税論者からは「1億円の壁は打破できなかった」と落胆の声が聞かれます。 この「1億円の壁」とはそもそも何なのでしょうか。また、「1億円の壁」を打破することが難しい要因はどこにあるのでしょうか。今回は、「1億円の壁」について考えてみたいと思います。(ライター・岩下爽) ●金融所得課税のしくみ 金融所得課税は、一律20%(所得税15%+住民税5%)の税率です(復興特別所得税を除く)。所得税は、本来、所得額によって税率が変わる「超過累進課税」となっていますが、金融所得については分離課税となっているため、「給与所得」や「事業所得」とは別に課税されます。 なぜ分離課税になっているかについては諸説ありますが、源泉徴収で完結させることができることと、総合