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金融所得課税の見直しは近年、税制改正の焦点となってきた。税制では年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」がある。富裕層優遇として問題視する声が強く、与党税制改正大綱は毎年「検討課題」に掲げてきたが、2022年12月に公表された23年度大綱ではその文面が消えた。何があったのか――。 富裕層ほど下がる「実質税率」 まず、金融所得課税をめぐり、課題となるポイントを整理しよう。 個人が給与や商売の利益などを得ると所得税がかかる。所得税は、得た所得を合計して課税する「総合課税」が原則で、所得が高いほど税率が上がる7段階(5~45%)の累進課税だ。さらに住民税は個人所得に原則10%(所得割)を課す。つまり所得税と住民税を合わせた実質的な最高税率は55%になる。 だが、現実には、所得が高くなるほど税負担が増すわけではない。国税庁の20年「申告所得税標本調査」で合計所得と負担率の関係
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