高温状態にある原子炉を格納容器の上部まで水で満たして冷却する「水棺」作業。原子炉の安定化に向け期待される一方、余震に対する耐震性や冷却効果をめぐり、専門家の間でも「汚染水を増やすだけ」などと疑問視する声が出ている。東電は「余震に対する耐震性などを確認をしながら取り組みたい」としているが、実証データはなく、手探りの試みとなりそうだ。 ■割れる評価 「水棺は冷却には有効な手法だ」。こう評価するのは、京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授(原子力工学)。「格納容器内にある圧力容器や配管系の損傷部分からの汚染水の漏れも、水で防ぐ利点もある」と強調する。大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子炉工学)も「圧力容器の底が冷やせるので、燃料が溶けて圧力容器の底が抜けるのを防ぐ効果がある」という。 一方、日本原子力技術協会最高顧問の石川迪夫(みちお)氏は「水棺はただちに中止すべきだ」と語気を強める。石川氏は期待され