石川県加賀市は田園風景の向こうに霊峰・白山の雄大な山塊を望むことができる日本海側有数の温泉郷だ。人口はおよそ7万人。そこに周辺を含めれば年間500万人以上の遊客が全国から訪れる。1961年3月、亀山はこの地で生まれた。 実家は商売を手掛け、地元で「浜茶屋」と呼ぶ海の家やカメラ屋、呉服店、飲食店、果ては手取川での「フィッシュランド」と、田舎町でおよそ考えられるかぎりのことを次から次に試した。片山津温泉でキャバレーを構えた時期もある。住み込みで働く数人の女性からはその頃「ケイシ君、ケイシ君」とかわいがられた。 少年時代はどこか風変わり 「授業中はずっと寝てましたね」――。県立大聖寺高校で同級だった中西隆彦は当時の亀山の様子についてそう笑い飛ばす。地元のとびきり優秀な生徒が隣町の小松高校に進む一方、大聖寺高校は二番手といったところで、それでも金沢大学には毎年数十人が合格する進学校だった。もっとも