日産ゴーン事件で逮捕されたグレゴリー・ケリー前代表取締役が保釈された。特捜検察の事件で、否認している被告人が、全事件の捜査が完了しない段階で保釈となるという、極めて異例の展開。長期間の身柄拘束で自白を引き出す「人質司法」など、日本の刑事司法のありようが海外でも問題視されるなか、裁判所がチェック機能を果たした格好だ。 前代未聞の勾留延長却下 一方で、著名ビジネスパーソンの事件で国際的に注目されたゆえに「特別扱いされたのでは」とみるむきもある。刑事司法の公平性にかかわる、そのような疑念を招かないためにも、全国の裁判所は今後、勾留や保釈の請求に対し、身柄拘束の必要性についての判断を、以前以上に厳正に行う必要が出てきた、と言える。 ケリー氏がカルロス・ゴーン氏と共に東京地検に逮捕されたのは、先月19日。2010~14年度のゴーン氏の報酬約50億円を有価証券報告書に記載しなかった金融商品取引法違反容