特定秘密保護法の施行によりあらためて浮き彫りになった問題の一つに、国立公文書館の貧弱さがある。 現状はアジア近隣国にも見劣りする。政府の情報に国民が容易にアクセスできる体制になっていない。施設と人の両面から拡充を急ぎたい。 東京都千代田区の皇居の近くに本館、茨城県つくば市に分館がある。大日本帝国憲法(明治憲法)の原本、終戦の詔書など貴重な歴史的文書を含め、135万冊を収蔵している。 内閣府の資料によると、職員は47人。米国の2720人、英国の600人、韓国の340人などに水をあけられている。文書を並べる書架の総延長も、こうした国々の数分の一以下だ。 体制が貧弱なため「公文書館は使いにくい」との声が研究者らの間にある。内閣府の検討チームが昨年夏にまとめた中間報告も、公文書館は文書を国民の共有財産にする機能を「ほとんど有していない」と認めている。 特定秘密は原則として指定から30年が