■要旨 新型肺炎の影響拡大が懸念される中、日経平均は大崩れすることなく3連休を迎えた。値下がりしたら株を買おうと思っている投資家からすれば“意外にしぶとい”といった印象だろう。海外投資家による“日本売り”まで指摘されているにもかかわらず、日本株が底堅い理由は主に3つある。 ■目次 ■日経平均の戻りは鈍いが、大崩れしていない ■理由(1):円高が進んでいない ■理由(2):堅調な米国株と中国株 ■理由(3):根強い景気回復期待と日本企業の業績見通し ■今後は楽観できない
■要旨 近年の消費行動で見られるモノの「所有から利用へ」という消費行動には、(1)モノを「買えなくなった」、(2)モノを「買わなくてもすむようになった」、(3)モノよりも「サービス(コト)を買うようになった」という3つの要素がある。 モノを「買えなくなった」背景には若い世代の厳しい経済環境があげられる。非正規雇用者が増え、正規雇用者でも収入が伸びにくくなっている。また、少子高齢化による将来の社会保障不安もあるだろう。さらに、昨年は消費増税に加えて、「老後資金2千万円不足問題」が大きな話題となることで、生活防衛意識を高めた消費者が増えたのではないか。 モノを「買わなくてもすむようになった」背景には、技術革新が進み、成熟した消費社会では安くて品質の高いモノがあふれ、お金を使わなくても消費生活が楽しめることがあげられる。所有欲が低下し、社会貢献意識が高まる中で、ミニマリストを良しとする風潮もある
■要旨 日本の2015 年度における最低賃金の全国平均は798円で、前年度の780円より18円ほど高くなった。 日本円に換算した2016年度の韓国の最低賃金は615円で日本よりは低いものの、対前年度比の引上げ額は46円で日本の18円より高い。2000年度から2015年度までの平均引上げ率も韓国が8.5%で日本の1.3%を大きく上回っている。 韓国の最低賃金の対前年度比引上げ率が日本より高い理由は、元々最低賃金の水準が低く設定されていたことや、 毎年物価が上昇しており、物価の上昇率が最低賃金の決定に影響を与えていることが考えられる。 日韓ともに最近、最低賃金の引上げ率を高めている背景には、経済のグローバル化による企業競争の激化により労働力の非正規化が進んでいることが挙げられる。最低賃金の引上げは福利厚生制度の充実と並び非正規職の処遇水準改善のための日韓政府の政策措置の一環である。 日韓の平均
新聞などで大きく取り上げられたのは、2008SNAへの対応によって研究・開発(R&D)が新たに計上されたことなどから2015年度の名目GDPの水準が31.6兆円上がったことだが、筆者が注目したのは2013年度から2015年度までの3年間の実質GDP成長率が年平均で0.5%も上方改定された2ことである(図表1)。実質GDP成長率の上方改定は、(1)潜在成長率の上昇、(2)GDPギャップの改善、のどちらか(あるいは両方)につながることが想定されるためだ。 これに対して、GDPギャップの推計値は改定されたものの、プラスとマイナスの符号が入れ替わるような期はほとんどなかった。たとえば、両推計値ともに消費税率引き上げ直後の2014年4-6月期にGDPギャップがマイナスに転じた後、一貫してマイナス圏で推移している。新推計による直近(2016年7-9月期)のGDPギャップは▲0.9%(GDP比)と従来の
新聞などで大きく取り上げられたのは、2008SNAへの対応によって研究・開発(R&D)が新たに計上されたことなどから2015年度の名目GDPの水準が31.6兆円上がったことだが、筆者が注目したのは2013年度から2015年度までの3年間の実質GDP成長率が年平均で0.5%も上方改定された2ことである(図表1)。実質GDP成長率の上方改定は、(1)潜在成長率の上昇、(2)GDPギャップの改善、のどちらか(あるいは両方)につながることが想定されるためだ。 これに対して、GDPギャップの推計値は改定されたものの、プラスとマイナスの符号が入れ替わるような期はほとんどなかった。たとえば、両推計値ともに消費税率引き上げ直後の2014年4-6月期にGDPギャップがマイナスに転じた後、一貫してマイナス圏で推移している。新推計による直近(2016年7-9月期)のGDPギャップは▲0.9%(GDP比)と従来の
2015年10、11月の経済指標は低調なものが多く、2015年10-12月期が再びマイナス成長に陥る可能性が出てきた。日本経済は消費税率引き上げの影響が一巡した2015年度入り後も低空飛行が続いている。 個人消費は安倍政権発足時からほとんど伸びておらず、実質GDP低迷の主因となっている。個人消費回復のためには賃上げを通じて企業に滞留する余剰資金を家計に還流させることが不可欠である。 企業収益の好調、労働需給の逼迫など、賃上げを継続するための経済の好環境は継続しているが、2016年春闘に向けた連合や各労働組合の賃金要求水準は昨年よりもやや後退している。 安倍政権発足時から消費者物価は約4%上昇したが、この間に名目賃金はほとんど伸びておらず、実質賃金は大幅に低下した。足もとの消費者物価上昇率はほぼゼロ%だが、原油価格下落の影響が一巡すれば1%程度まで上昇し、ようやく上昇に転じた実質賃金が再び低
2015年10、11月の経済指標は低調なものが多く、2015年10-12月期が再びマイナス成長に陥る可能性が出てきた。日本経済は消費税率引き上げの影響が一巡した2015年度入り後も低空飛行が続いている。 個人消費は安倍政権発足時からほとんど伸びておらず、実質GDP低迷の主因となっている。個人消費回復のためには賃上げを通じて企業に滞留する余剰資金を家計に還流させることが不可欠である。 企業収益の好調、労働需給の逼迫など、賃上げを継続するための経済の好環境は継続しているが、2016年春闘に向けた連合や各労働組合の賃金要求水準は昨年よりもやや後退している。 安倍政権発足時から消費者物価は約4%上昇したが、この間に名目賃金はほとんど伸びておらず、実質賃金は大幅に低下した。足もとの消費者物価上昇率はほぼゼロ%だが、原油価格下落の影響が一巡すれば1%程度まで上昇し、ようやく上昇に転じた実質賃金が再び低
■イントロダクション スイスの中央銀行であるスイス国立銀行が2011年9月6日に為替市場への“無制限介入”を発表して以降、約3年が経過した。この無制限介入策の内容は、スイスフランの対ユーロ為替について、1ユーロ=1.2スイスフランという上限を設け、フラン売りユーロ買いの無制限介入を通じてこのラインを死守する(これ以上のフラン高は許さない)というものだ。欧州債務危機等を受けて同年5月以降に急激なフラン高ユーロ安が進行し、同国経済への深刻な脅威となったうえ、デフレリスクが高まったことへの対応だ。 筆者は無制限介入開始から1年が経過した12年9月に、その経緯や内容・狙いのほか、1年間の成果と副作用を検証したレポートを執筆したが、その後約2年が経過している。そこで今回改めて、現在も継続している無制限介入策というスイスの大胆な挑戦のその後を追う。 ■見出し 1――はじめに 2――成果と副作用の状況フ
■イントロダクション スイスの中央銀行であるスイス国立銀行が2011年9月6日に為替市場への“無制限介入”を発表して以降、約3年が経過した。この無制限介入策の内容は、スイスフランの対ユーロ為替について、1ユーロ=1.2スイスフランという上限を設け、フラン売りユーロ買いの無制限介入を通じてこのラインを死守する(これ以上のフラン高は許さない)というものだ。欧州債務危機等を受けて同年5月以降に急激なフラン高ユーロ安が進行し、同国経済への深刻な脅威となったうえ、デフレリスクが高まったことへの対応だ。 筆者は無制限介入開始から1年が経過した12年9月に、その経緯や内容・狙いのほか、1年間の成果と副作用を検証したレポートを執筆したが、その後約2年が経過している。そこで今回改めて、現在も継続している無制限介入策というスイスの大胆な挑戦のその後を追う。 ■見出し 1――はじめに 2――成果と副作用の状況フ
■見出し 1―はじめに 2―生産性向上設備投資促進税制の概要 1│生産性向上設備投資促進税制の特徴 2│A類型とB類型のスキーム概要と違い 3―生産性向上設備投資促進税制の運用実績の考察 1│A類型の運用実績 2│B類型の運用実績 4―生産性向上設備投資促進税制の政策効果の考察 1│設備投資の増加効果 2│マクロ経済に対する政策効果 5―生産性向上設備投資促進税制を活用した先進的な企業事例の考察 1│竹本油脂 2│コニカミノルタ 3│ウエルシア関東 6―おわりに ■introduction 日本経済を再生し産業競争力を強化することを目的とした「産業競争力強化法」の施行(2014年1月20日)から半年が経過したことから、経済産業省は7月18日に同法の主要な関連施策の運用実績を公表した。この中で、アベノミクスの成長戦略「日本再興戦略」(2013年6月14日閣議決定)において掲げられた民間設備投
中古住宅に係る価格情報は、不動産業界の業務用データベースによるものか、業者によるボランタリーな取引報告に基づいて東日本不動産流通機構(REINS)などが集計し、利用制限を設けて一般に公表しているものに限られている。それでもREINSによる中古住宅市場価格の開示と公表は画期的であったが、届け出ベースのため、データが市場の状況を適切に反映しているかという課題は残っている。加えて、様々な物件の立地や属性を考慮し、一般消費者がデータを適切に読み解き、中古住宅の価格推移や相場観を得ることは大変難しい状況にあった。 しかし、国土交通省はこのような課題解決を含めた不動産市場の整備を進めるために、不動産取引を行った当事者を登記情報から抽出し、アンケートや物件の実地調査などにより、物件毎の属性に応じた実際の取引価格のデータベースの整備と拡充を進めていた。2008年4月からは、学識経験者や不動産鑑定士などの専
平成25年度税制改正大綱の公表に先立つ平成24年9月から11月にかけて、貸家着工戸数は、相続税や消費増税のアナウンスメント効果によって、突如大きく伸びた(2012-12-18付け拙稿研究員の眼など参照)。この事例だけではなく、従来から相続税や固定資産税、譲渡所得課税など、様々な税制改正によって、土地・住宅市場は幾度も翻弄されてきた経緯がある。 過去の大まかな動きを振り返ってみたい。まず、地価が高騰したバブルの形成期には相続税の負担軽減が図られている。しかし、「土地は有利」との政策判断に引きずられたまま、制度整備や透明性の確保の観点から路線価による8割評価がバブル崩壊後の平成4年から実施されてしまった。従前の7割評価からの引き上げであることに加え、公示地価が地価下落期に市場価格よりも高めに推移したため、特に地方都市では評価額が市場価格の8割を超える逆転現象が数多く生じることとなった。 固定資
平成25年度税制改正大綱の公表に先立つ平成24年9月から11月にかけて、貸家着工戸数は、相続税や消費増税のアナウンスメント効果によって、突如大きく伸びた(2012-12-18付け拙稿研究員の眼など参照)。この事例だけではなく、従来から相続税や固定資産税、譲渡所得課税など、様々な税制改正によって、土地・住宅市場は幾度も翻弄されてきた経緯がある。 過去の大まかな動きを振り返ってみたい。まず、地価が高騰したバブルの形成期には相続税の負担軽減が図られている。しかし、「土地は有利」との政策判断に引きずられたまま、制度整備や透明性の確保の観点から路線価による8割評価がバブル崩壊後の平成4年から実施されてしまった。従前の7割評価からの引き上げであることに加え、公示地価が地価下落期に市場価格よりも高めに推移したため、特に地方都市では評価額が市場価格の8割を超える逆転現象が数多く生じることとなった。 固定資
新政権が誕生し、補正予算の検討とともに税制調査会の設置などが進められている。消費増税については3党合意が守られ、粛々と増税に向けた詳細制度が構築されることとなる。自民党は2010年の参院選の時点から、消費増税に際しては複数税率で低所得者に配慮するとし、軽減税率の導入に前向きであった。公明党も消費税を8%に引き上げる時点で軽減税率を導入すべきとしていた。 学識経験者の間では、軽減税率の導入は、限定的であることと高所得者にも及ぶため、消費税の逆進性をいくぶん緩和するものの、その効果は少ないという指摘がある。また、所得は生涯でみるならば必ず消費されるため(遺産として残さない場合)、消費税は生涯所得に対する比例税であり逆進的にはならないとの見方などもある。 この点、筆者が、最近英国やイタリア、カナダを訪問した際に、0%税率や軽減税率の運用、あるいは給付制度を導入した目的を各国の財務省の担当者から聞
先進国では経済的な豊かさを表す国内総生産(GDP)が成長したにも関わらず、人々の幸福感が高まっていないと言われている。そこで、幸福感はどのような要因で決まるか研究が行われている。 世界的な研究では、若いうちは年齢が上がるにつれ幸福感が低下し、40~50歳程度で最も幸福感が低くなり、高齢になると再び上昇すると言われている。一方、日本では高齢者の幸福感はそれほど高まらないという研究もある。 それでは、日本の高齢者の幸福感は何に左右されているのだろうか。経済学ではお金を使うこと(消費)により、幸福感が得られる(効用が高まる)としているので、旅行や趣味などを含めて消費水準が高い人ほど幸福なのだろうか。これに対して、幸せはお金では買えないとも言われるが、本当にそうなのだろうか。そこで、筆者らの研究グループでは、高齢者の幸福感の源泉について研究を行った。 この研究は途中段階ではあるが、現状で得られてい
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