厚労省は昨年5月、労働基準法に違反する企業の公表基準を変更。一定の条件が揃えば行政指導だけでも、社名を発表するよう各労働局に通達した。しかし、新基準が初めて適用されたのは、今年5月になってから。社名公表は、1年でわずかに1社だけだ。 千葉労働局は5月19日、違法な長時間残業があったとして、棚卸し代行業の「エイジス」(千葉市)に是正勧告書を交付したと発表した。4つの事業所の計63人が1カ月100時間以上の時間外・休日労働をしており、もっとも長い人で約197時間もあったという。 従来ならこの段階で社名が公表されることはなかった。「書類送検」が社名公表の条件になっていたからだ。しかし、新基準では、複数の都道府県に事業所を持つ大企業に限って、要件を緩和。月100時間以上の残業をしている社員が、複数の事業所にまたがって一定数いるなどすれば、行政指導でも社名が公表される。 ●基準を下げる話は出て