『異端の統計学ベイズ』草思社 シャロン・バーチュ・マグレイン/著 冨永星/翻訳 「ベイズ統計学」というのは、現代であれば当たり前に使われているだろう。特に、ビジネスの世界で重宝されているのではないか。「ベイズ推定」という名前の方が有名かもしれないが、今では、「統計学」の一つとして、当たり前に受け入れられている。 しかしこのベイズ統計学、誕生から200年ほどの間、とにかく嫌われまくっていた。「こんなものは統計学/科学じゃない」と受け取られていたのだ。 とはいえ、その気持ちも分からないではない。まずその辺りから説明していこう。 統計学の主流派は、「頻度分析」と呼ばれるものだ。これは、とても分かりやすい。同じ条件でたくさん実験や試行を繰り返して、その結果を元に確率を導き出す、というものだ。例えば、重心の位置から外れた場所に重りを埋め込んだサイコロのことを考えてみよう。このサイコロは、1~6の数字