最近、一部の老人ホーム運営者が、長年同じホームで暮らしている入居者を「償却切れ老人」と呼び、理由もなく退去を迫ったことが報じられ、波紋を呼んでいる。 多くの老人ホームでは、入居時に高額の「入居一時金」を支払うことになっている。簡単にいえば、一定年数をそのホームで暮らすための「家賃の一括前払い金」だと考えればいい。その一時金は毎年少しずつ償却され、ある年数を過ぎるとゼロになる。つまり、一定の年数以上をホームで暮らすと、それ以降の家賃は“タダ”になり、入居者側は得をする。 逆にいえば、ホーム運営側は損をすることになるので、そうした入居者を「償却切れ老人」と呼び、施設から追い出しにかかるのだ。 たいていのホームでは、入居契約で「ホーム内で手に負えない病気になった」、「大声や暴力行為で他の入居者に迷惑をかける」といった場合は退去を求められると定めている。そうした条項を利用して、認知症の悪化などを理