窃盗や傷害の罪に問われた男性被告(60)=大阪市=に対する大阪地裁の裁判で、傷害罪については、「罰金の可能性もある」という警察官の誘導で容疑を認めた疑いがあるとして、地裁が被告の自白調書を証拠採用しなかったことが9日、分かった。窃盗に関する証拠の通話記録が存在するのに、検察側が文書で「存在しない」と答えていたことも関係者への取材で判明。弁護側は「お粗末過ぎる」と批判している。 知人女性に暴行したとされる傷害罪について、被告は公判で「大阪府警の警察官から、被害者に合わせた内容の調書なら罰金になる可能性もあると言われた」と主張した。地裁は今年3月、逮捕から10日以上否認していた被告が自白に転じた経緯などから「利益誘導は否定できない」と調書の任意性に疑問を示し、証拠採用を見送った。【苅田伸宏】