時代の変わり目には、えてして既存の価値観をかき回すようなトリックスターが生まれることがあります。飯田哲也(てつなり)氏もそのひとりでした。 福島第1原発事故以前の飯田氏は、「北欧のエネルギーデモクラシー」という本に現れるように、地域の中で企業や住民が協同して新しいエネルギーの地域自給システムを作っていくことを説く環境研究者でした。 この再生可能エネルギーのあり方には、今でも私は強く共感します。しかし、彼は変質します。 福島第1原発事故直後に、脱原発と次代のエネルギー政策を柔らかい語り口で伝えられる人材が払底していたために、一挙に彼は脱原発時代の寵児に祭り上げられてしまったからです。 飯田氏は、再生可能エネルギーによって原発ゼロが可能だとし、なかでも太陽光発電をFIT(フィード・イン・タリフ/全量固定買取り制度)で拡大すべきであると主張しました。 これではまるで、本来は地域自給の一環であった