まさか、この話をまた考えることになるとは。 新垣さんを僕も存じ上げている。「はじめまして」と挨拶を交わすだけで、およそ人としてもっとも温和、もっとも善良、謙虚、底なしの無欲で、しかもすさまじい才能の持ち主である作曲家であることが即座に分かる稀有な方だ。お金ではなく良心に耐えかねて。彼を少しでも知っていれば、みんな言葉通りに信じる。その「良心に耐えかねて」の意味も、「私は共犯者です」の意味も正しく理解できる。およそ彼とほんの少しでも関わった人のなかで、彼のことを嫌いな人なんか、ひとりもいない。猫好きが猫について語るときのような気持ちにさせる人格の持ち主である。 だから、会見を見ていて、わなわなした。 18年で700万円。つまり年収40万に届かず。 本来下請けに甘んじるべきではない人の、あの新垣さんの貧困の上で虚像が作られている。才能を搾取され続けた弱者に、しかもカメラのフラッシュにも平気で耐
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