昭和天皇の肖像を燃やすような作品や元慰安婦を象徴する作品が出品され、物議を醸した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」をめぐり、文化庁が、愛知県への補助金を不交付とした決定を見直し、一部減額して愛知県に支給すると発表した。県が手続き上の不備を認めたことが理由だが、芸術祭が提起した表現の自由や、公共施設での展示のあり方といった問題について議論は進んでいない。今回の灰色決着で、同様の騒動が再び起きる恐れも指摘されている。 実利重視 「愛知県が遺憾の意を示した上で今後の改善を表明したこと、展示会場の安全や事業の円滑な運営にかかる懸念に関連する経費などの減額を内容とする変更申請がなされたことなどを踏まえて判断した」 文化庁は3月23日、いったん不交付とした決定を見直し、約7800万円から約6700万円に減額して支給することを決めた理由について、こう説明した。 愛知県の大村秀章知事も、補助金支給