タグ

ブックマーク / lleedd.com (6)

  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 誤差の話

    小さな差が積み重なって思わぬ大きな差になることはよくあることですが、モノを作るときにも寸法誤差の積み重ねは、とても重要な意味を持ちます。 例えば、カステラがきっちり入る桐の箱を作ることを想像してみましょう。理想は隙間なくぴったり納まることですが、人の手が作るものでは、なかなかそうはなりません。カステラを切るときに、菓子職人さんがどんなにがんばっても最大1ミリの誤差は防げないとしましょう。一方、箱職人さんが作る桐の箱も±1ミリぐらいの誤差は出るとします。どちらも20センチで作ってくれと依頼しても、201ミリになったり199ミリになったりする可能性があるということです。 さて、カステラが箱に入らないという困った状況にならないためには、それぞれの職人さんにどのように依頼すればいいのでしょうか。答えは、箱をカステラより2ミリ大きく(箱は201ミリ、カステラは199ミリに)作ってくれと依頼することで

    ymrl
    ymrl 2012/12/13
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » アップルまみれ

    私がMacintosh に出会ったのは1986年、日語化されたばかりのMac plusでした。もちろんそのGUIにも感動しましたが、ハードウェアの仕上がりも、それまで私が接したパソコンとはずいぶんレベルが違いました。 あらゆる方向から、ちゃんとデザインされており、家電やオーディオ機器では当たり前だった醜い背面がそのマシンにはありませんでした。冷却スリットやフロッピーのスロットなども一環した思想でデザインされていました。キーボードやマウスをつなぐコネクタもシステム化されており、ともかく全体を「こった造り」が大好きな人間が作った事は、歴然だったのです。 その美意識に惚れ込んで24年、何十台というMacを使って来ました。おそらくは私の人生で最も多くの時間をともに過ごしたブランドでしょう。も子守りをしながら、SE30に向かっていましたし、娘も言葉を話す前からマウスを触っていました。 フリーのデ

    ymrl
    ymrl 2011/02/06
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » スティーブ・ジョブスの台形嫌い

    手もとにあるプラスチックの製品を見て下さい。真四角な箱だと思っていたものが、よく見るとほんの少しだけ台形になっていませんか。二つの箱を合わせて作られた製品の、真ん中のつながりをよく見ると、わずかに「くの字」に膨らんでいませんか。まっすぐな円筒だと思っていたプラスチックのキャップ、よく見ると少し、口の側が大きくなっていませんか。 プラスチックの製品は、熱く溶けたプラスチックを型に流し込んで、冷えて固まったところで取り出して作ります。そのために多くの場合、どちらかの方向に向かって台形に広がっています。まっすぐなものは型から抜けないからです。型抜きポンで作る板チョコが必ず台形になっているのと同じです。真四角の高級生チョコは違いますよ。ひとつ一つ切って作りますから。 appleの創始者スティーブ・ジョブスはこの台形が許せませんでした。Mac II以前のMacはみんなちゃんと直方体になっています。プ

    ymrl
    ymrl 2010/03/03
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 天使は昆虫から進化した

    骨展が終わって、人前で話す機会が減ってほっとしていたのですが、このところ立て続けです。昨日はとうとうダブルヘッダー。 第1試合は、お台場テレコムセンターで行われたキッズデザインセミナー。「iPhoneを使いこなす赤子」のムービーに、皆さん相当の衝撃を受けていただいたようです。当分使えそう。 第2試合は、森美術館で開催されている展覧会「医学と芸術展」の関連イベントで、理化学研究所の倉谷滋さんとの対談。生物の形態進化と発生がご専門の倉谷さんは、当にお話が上手なので、私自身が楽しませていただきました。 倉谷先生いわく「天使は進化発生学的に見ると、六足の動物から進化したとしか考えられない」。生物は、進化の過程で様々な器官のつながりを急に変える事はできない(ジョフロアの法則と言うそうです)ので、鳥の翼が祖先の恐竜の前足に由来するように、天使やペガサスの祖先には、後に翼になるもう一対の足があったは

    ymrl
    ymrl 2010/02/09
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 曲面を作る

    ふっくら、ぽってり、ゆったり、粘り着くような、流れるような、張りのある、しっとりとした…。こうした表現からどんな曲面を思い浮かべますか。 曲面が持つニュアンスには、それを作る素材の物性が色濃く現れます。その由来をはっきり意識する事は、立体物を作るデザイナーにとって、とても重要なことです。 固いものが研磨されてできる曲面、液体が表面張力で作る曲面、伸縮性のある膜を引っ張ったときの曲面、内部の圧力で膨らんだ曲面、成長によって形成された曲面。それぞれに全く性質が違うので、むやみに混在させる事は御法度。デザイナーは意識して使い分けます。 私が慶應義塾大学SFCで受け持っている演習授業では、「河原の小石」という課題を出題しています。 「木片を削って、河原に落ちている石ころに見えるオブジェを作りなさい。」 課題の目的のひとつは、頭でっかちになりがちな学生達に、自分の手でとことん立体とつき合う経験をさせ

    ymrl
    ymrl 2010/01/30
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 幻のMac OS

    もう15年ほど前になります。私たちはアップルの拠、クパチーノでインタフェース開発グループの人たちを前にプレゼンテーションを行っていました。その時に提案したのがこのDrawingBoardというMac OSのインターフェースデザインです。 提案メンバーは私と、猪股裕一さん、戸田ツトムさん、宮崎光弘さん、須永剛司さんの5人。プレゼンは大成功で、直ちに開発がスタート。 ご覧のように、あらゆるパーツが手書き風のOSインターフェースを提案したので、実装はとても手間のかかる作業でした。すべてのパーツをデザインするのにほぼ丸1年。一応私がプロジェクトのディレクターを務め、コンセプト段階では猪股さんや須永さんに協力いただき、ディティールに戸田さんと宮崎さんの手が入っています。 アップル・コンピュータ社との仕事はとても楽しいものでした。彼らのインターフェースデザインに対する情熱と誇りや、しっかりとした設

    ymrl
    ymrl 2009/06/14
  • 1