安倍晋三首相が発令した新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を受け、国土交通省が地方整備局などに出した直轄工事の一時中止に関する通知が、建設業界の反発を招いている。通知では、一時中止の判断を受注者に「丸投げ」しているからだ。民間工事を含め、建設現場が止まらない背景には、国交省の「責任逃れ」の姿勢があるとの声が強まっている。 「これじゃあ、民間発注者は工事を止めないだろう」 緊急事態宣言の翌日の2020年4月8日朝、ある建設会社の幹部は国交省のウエブサイトに掲載された通知の内容を見て、がっくり肩を落とした。 緊急事態宣言は、対象7都府県の住民や事業者に外出や営業の自粛を求める内容だ。市民生活や企業活動の多くが制約を受けるなか、建設業界でも工事を止めるべきかどうか判断に迷っている企業は少なくない。 建設会社にとって、現場で働く自社の従業員や下請けの作業員の感染を防ぎたいと思っても、発注者が認めな