長崎市で当時12歳の高機能自閉症の少年が4歳の幼児を殺害した事件は、まだ記憶に新しく残っています。過去にも東京・浅草でパンダの顔のついた帽子をかぶった青年に女子短大生が殺されたり、愛知県豊川市で当時17歳の少年が老女を殺した事件など、高機能自閉症の人による不幸な事件は起きています。 そのたびに私は全国各地から寄せられる質問や相談に、途方に暮れる思いをしてきました。多くが「高機能自閉症といわれる少年は、このような不幸な事件を起こしやすい素質や特性を持っているのか?」といった問い合わせだったのです。 10年から20年前の間に、数多く出会ってきた高機能自閉症の子どもや青年との経験でいえば、彼らは決して犯罪を起こしやすい性格を持ち合わせているわけではありません。それどころか、みな素直で真っ正直な特性の持ち主でした。だから大切なのは、私たちが彼らとどのように向き合い、共生するか━ということです。 最