前日本将棋連盟会長、永世棋聖の称号を持つ米長邦雄九段が亡くなられてから、もうすぐ2年になる。亡くなられる半年ほど前の、富士通も後援する人工知能関連のフォーラムで講演された米長九段のお話は、今でも鮮明に覚えている。末期がんに苛まれた痛々しいお身体をサポーターに支えられながら、ようやく壇上にお座りになられてから、その弱弱しい風貌から想像も出来ないほど力強いハッキリした口調で、ほぼ1時間にも渡ってコンピューターと将棋について語られた。 この講演の半年ほど前に、米長先生は富士通社員が開発したコンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」と戦って惜敗されている。この「ボンクラーズ」というへんてこりんな名前は、過去の棋譜をビッグデーターとして活用し、人工知能の技術を応用した初代コンピューター将棋ソフトである「ボナンザ」をベースとして「クラスター手法」で高速化したという意味を込めて名付けられている。この「ボナ