賃上げは労働意欲を高めるのか? 2023年1月4日に岸田文雄首相は、インフレ率を超える賃上げの実現を企業に求めていく考えを示した。インフレ率を超える賃上げが行われれば、実質賃金が上がる。実質賃金が増加すると消費も増え経済に好循環が生まれてくる。また、実質賃金の上昇は、労働者の労働意欲を高め労働供給を増やしたり、生産性を高めたりする可能性がある。 しかし、インフレ率を超える賃上げが行われても、手取りの実質賃金が増えるかどうかはわからない。雇用保険料の本人負担が2022年度までの0.3%から2023年度には0.6%になり、0.3%ポイント引き上げられるからだ。賃上げがインフレ率を0.1%ポイント超えるだけだと、手取りの実質賃金は下がってしまうのだ。 伝統的経済学では、インフレ率を超えた手取り賃金の上昇率に労働者は反応するはずだと考えられてきた。しかし、賃金が何%引き上げられるかを私たちが知るの