技術が発達すれば透明人間も可能になるのだろうか。マウスを全身丸ごと透明化し、細胞をひとつずつ識別して立体的に観察する新技術を、理化学研究所生命システム研究センターの上田泰己(うえだ ひろき)コア長、東京大学医学部の田井中一貴(たいなか かずき)講師、久保田晋平(くぼた しんぺい)日本学術振興会特別研究員らが開発した。マウス個体で遺伝子の働きや細胞ネットワーク構造を3次元データとして取得し、次世代の病理解析や解剖学の基盤技術になると期待される。11月6日の米科学誌セルに発表した。 細胞が約350年前に顕微鏡で初めて発見されて以来、哺乳動物のような不透明な生物の個体全身を観察することは長年の課題だった。マウス個体(体長約10センチ、体重約30グラム)は約300億個の細胞から構成され、全身に複雑な細胞ネットワークが張り巡らされている。一方で、免疫疾患やがんなどはわずか1細胞の変化が細胞ネットワー