『「武具」とは、戦闘の道具である攻撃具と防御具を総称した歴史用語である。』(P12) 近代以降、攻撃具の劇的な発達によって防御具が衰退し、攻撃具が『個人使用の小型の攻撃具』であるところの「武器」と『大型かつ大規模な攻撃具』であるところの「兵器」と呼ばれるようになっていく。ただし元々は「武器」も「兵器」も用例は少ないものの防御具を含む歴史用語ではあったそうだ。その、前近代までの日本の武具の歴史をコンパクトにまとめた一冊。 まず、武具には儀仗と兵仗がある。儀仗は儀式用・神具で兵仗は実戦用となる。本書で説明されるのは後者の兵仗の方だ。攻撃具は「弓箭(ゆみや)」「鉄炮」などの飛び道具と「刀剣」「長柄」などの衝撃具に大別され、防御具は「甲(よろい)」と「冑(かぶと)」に大別され、他に「小具足」と「盾」がある。さらに古代の「刀」は「たち」、中世以降は「かたな」となるし、直刀か彎刀かで直刀は「大刀」彎刀