系統樹思考の世界 はっきりいっておもしろすぎ。このレベルの論考がなんと¥780の新書で手に入るとは驚愕である。この内容ならばハードカバーで¥3,800でも躊躇なく買うだろう。 伝統的生物学の系統発生を表す系統樹をイメージに、系統樹を利用した思考方法が人間の普遍的な思考方法として広くいきわたり浸透していることを示した好著である。 そうなんですよ、祖先を持たないグラフ的ネットワークの分類思考でなく、始祖がいる系統樹なんですよ、人間がきちんと考えるために必要なのは。すげえ、超すっきりしましたよ。系統樹としてのマインドマップが多様な世界を記述する一つのツールとなりうる根拠でもあるわけですよ。 面白いのは、系統樹を作成するために必要な推論形式は、演繹でも帰納でもなく、パースのいう「アブダクション」で、これはデータを一番「うまく」説明する理論を採用するという、言ってみれば「物語コンテスト」みたいなもの