相模原市の障害者施設で重度障害者を狙い、19人を殺害したとして植松聖(さとし)容疑者(27)が殺人罪などで起訴された。脳性まひの障害で車いす生活を送る東京大学准教授の熊谷晋一郎さんと、ダウン症の娘と暮らしている和光大学名誉教授の最首悟さんが、事件が社会に投げかけたものを語り合った。 ――相模原の事件をどのように受け止めましたか。 熊谷 衝撃だったことは二つあります。事件を起こした植松容疑者が「障害者は生きている価値がない」と述べたとされること。障害者を知らない人ではなく、施設で働く介助経験者が起こした事件だったことです。 介助者と障害者の間には抜き差しならない関係があります。「暴力」の問題です。脳性まひという障害を持つ私は幼いころ、リハビリを補助する専門家が寝たきりの友人を足で踏む姿を見たことがあります。以来、ときおり介助者に「熱湯をかけられないか」「こっそりつねられないか」と潜在的な恐怖