村岡花子の「アン」名訳から省かれていたある一節の理由,「ホビット」の英語遊びをどう翻訳するか,「ジェイン・エア」ふたつの映画化を比べるとわかってくる小説の狙い,など,興味深い切り口から,英文学の読み方の深いところにせまった,痛快な東大講義. 1 場面のポイントを読み取る――駅長はなぜ孤児を隠していないのか? ロミオは実在の人物か?/漱石の創作メモ/彼は絶望していた?/作家のもくろみを読む/L・M・モンゴメリー/もらい手のなかった『赤毛のアン』/赤毛のアン登場/過剰なものは解釈を誘発する/駅長のはずむ心/careless は「不注意」か?/マシューと駅長のコントラスト 2 伝統を読み解く――主人公はなぜ「押し入り」なのか? 作家トールキンの誕生/中年ホビット卒倒す/いざ冒険の旅に!/その前に英語の冒険が……/「押し入り」にされたビルボ/作者と主人公の心理バトル/格式と冒険/イギリスでいちばん