「人生最高の10冊」今週の選者は、沖縄、被差別部落、生活史方法論などを研究する社会学者・岸政彦さん。「他者の痕跡や物語にきらめきを感じる」という岸さん、そのセレクトは社会史からSF・ファンタジー、コミック、雑誌までジャンルは多岐に渡ります。 主人公が右往左往する作品が好き 振り返ってみると、子供のときから好きで読んできた本には、「大きな歴史に翻弄される個人」を描いたものが多かったように思えます。主人公が自分の意思とは関係なく右往左往させられる。ドストエフスキーなどがそれに当たるんでしょうけど、文学といわれるものがどうも退屈で。親しんだのは海外のSFやファンタジー、国内では筒井康隆です。あるいは鎌田慧、本多勝一の社会問題を扱ったルポルタージュでした。 10冊に絞るのに随分迷いましたが、アタマの3冊は社会史の本です。 『戦争は女の顔をしていない』は著者が昨年ノーベル文学賞を受賞した作家の作品で